報せ

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僕は晴香の手料理が食べたい気分だったが寝起きで頭が廻らず「いいよ。分かった」と背伸びしながら気の抜けた返事をした。 「じゃあ、決まり!・・・・時間、遅れそうだから行くね!」バタバタと玄関に走る晴香を見ながら、「気を付けて行けよ」と声を掛けた。 「はーい。結婚前の大事な身体だもん、気を付けます」と行ってしまった。 晴香の居なくなった部屋は、時間が止まった様に寂しさだけが残った。僕が居る事自体、何か間違っている気さえした。 コーヒーを半分程飲み終えて、トーストにバターを塗りながらテレビを点けた。何処かのマンションから飛び降り自殺をしたというニュースが流れていた。 僕には自分から命を絶ってしまう人の気持ちが解らない。いや、大半の人がそうだろうが、途中で何か失敗したか、挫折したかでゲームの様に簡単に「自殺」でリセット出来やしない。 誰にでも産んでくれた親や、その人を待ち、頼り、愛する人が居るはずなのだ。どんなつまらない内容の映画だって、最後まで見ると涙が止まらない事だって有る。 命は大事だ。
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