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春の陽射しが心地好い、4月のある日。
私はいつものように最寄のバス停から、徒歩で自宅へと向かっていた。
今日もいい天気。
もう1日の半分以上は終わっちゃったのに、なんだか良いことがありそうで自然と笑顔になった。
今日の夕飯は何かな?
もしかしたら私の大好きなハンバーグかもしれない!
夕飯のことを考えながら、あと家までもう少し、というところを歩いていると、スーッと黒塗りの高級車がすべるように走ってきた。
うわー!あんなの初めてみた!!
じろじろ見ちゃいけないって思うけど、視線はその高級車を追っていた。
きっとお金持ちなんだろーなとか、どんな豪邸に住んでる人なんだろーとかぼんやりと考えていると、ゆっくりとその高級車が止まり、車の窓が開いた。
「お嬢さん、ちょっとといいかい?」
『へ?』
少し白髪混じりだけど綺麗に整えられた髪に、シュッとした輪郭。
きりっとした目が印象的な、50代前半ぐらいの紳士が私のほうを見てニッコリと微笑んでいた。
「お嬢さんにお願いがあるんだよ。」
『いいですよ?なんですか?』
きっと道案内か何かだろう、と思った私は紳士の頼みをあっさりと受け入れた。
「ありがとう。じゃあ少しだけ君の時間を頂けないかな?」
普通だったら、すごく怪しいと思うはずなんだけどなんだかこの人は大丈夫な気がして、私はこくりと頷いた。
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