29人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
飛び降り自殺をする場所に到着してすぐ、寒気を感じた。
ただし当時の俺はまだ幼稚園児、そんな感覚も『寒いにゃー💦』で済ませていたのだ。最初は・・・
「ほら、こっからみんな落ちるんだぞー♪」
父は何も感じないらしい。かなり鈍い。でも当時の俺は『父スゴイ』と純粋に感動、呑気だった。
姉が下を覗いていたから、俺も覗こうとした。だけど途中で怖くなって、足を止めようとした。
(・・・あれ?)
足が止まらない。あれ?このままだと崖から落ちるよ?
(何で、止まらないの?)
ようやく理解した。体が引っ張られてる、掴む手が見えた。
悲鳴を上げる前に、手を引かれた。俺の手を、姉が掴んでいた。
「面白かった、帰るよー♪」
アッサリと、俺を連れ戻した。姉は意図してか、それとも偶然なのか、確かに俺を助けた。
「やっぱり怖くなったか?まだまだ子供だなぁ♪」
・・・父、たった今息子がピンチだったよ。
あの後しばらく、姉から海に入る事を禁じられた。掴んでいた手は、崖から離れたら勝手に消えた。
あれから、幽霊を見る事が度々あった。ただ、この場所には近付かない事にしている。
一度、成人してから夜に近付いたが、やっぱり大変な事が起こった。それはまた、いつか・・・
とりあえず一言。
『父の阿呆っ!!』
最初のコメントを投稿しよう!