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「……気になられますか?」
アサカが話を切り出すとデルは「えぇ、まぁ」と言葉を濁らせた。
くすくすと笑うアサカに、デルは困ったように笑う。
「今日は、以前から話されていた“養子”の件で来られたのでしょう?」
「……察しておられたのですか。貴女も人が悪いですね」
息を漏らしながら話すデル。
アサカは「あの子がお気に召しました?」と目で話す。
その様子に子供は気付きもせず、ただ外を見つめている。
その子の銀髪や白すぎる程の肌のせいかは分からないが……外を見つめる瞳が、デルには冷めたぎるように見えていた……。
「……何?」
子供は、ようやくデルに気付き、その冷ややかな瞳を向ける。
「はじめまして。私はデル・アレドと言います。君は?」
「……」
「おや、黙ってしまったね」
子供はどうやら名無しのようだ。
デルはそれを見て顔色を窺いながらしばし考え込み、「よし!」と頷くとデルは子供の肩を優しく掴む。
「アウラ」
「え?」
「君の名前です。アウラなんて、どうですか?」
「………」
「嫌ですか?」
「うぅん……有難う」
この時、初めてアウラは微笑んだ。
この日からデルはアウラと共に暮し始めた。
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