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共に暮す相手に興味を持ったアウラは、一度だけデルに色々と質問をぶつけた事があった。
それは、この生活が始まったばかりの頃。
――夕食時。
味も覚えられない程に緊張した夕食は、この日が初めてだっただろう。
どう質問をするか、術を知らないアウラは緊張で額から汗が流れていた。
緊張と興味、勝るのは興味。
アウラは咽喉を鳴らして用意されたミルクセーキを飲むと、作り笑顔でデルに話し掛けた。
「ねぇ、デル……?」
「はい、どうしました?」
「デルは今までどんな生活をしてたの?やっぱり、一人暮らし?どんな仕事をして……――」
「そんな事はどうでも良いでしょう?それよりも――」
「…………」
アウラは言葉を絶たれる……そしてデルとの会話の中で、今までに見た事の無いデルの顔を見てしまう。
“仕事”と言う言葉を出した時、デルの穏やかな表情が悪なるものに変わったのをアウラはその目で見ていた。
そして、デルはその日のうちにアウラに約束事を突き付けたのだ。
それは“決して自分の部屋には入るな”というもの。
アウラは「きっと、大事な物でも置いてあるからだろう」と思いその約束を交わした。
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