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「それを聞いた私はただ、ただ悲しいだけだった。桜くんにはもう会えないのかなって思ってたから」
……俺には聞くことしか出来ない。相槌を打つことも、曖昧な返事をすることも許されない。
「それからの日々は、有って無いような感じだったなぁ。
考える事はアナタの事ばっかり」
東は下だけでなく、時折天井の方を見て悲しげな顔をするのであった。
「結局、中学校をそのままの状態で過ごして、高校入学。……正直その二年間とちょっとはほぼ無駄に過ごしたよ」
「無駄……」
その原因が自分にあるのか、と考えると……胸が痛む。
「勉強だけは出来たけどね。
それで、そんな私の状態を元に戻してくれるような出来事が起きたの」
「出来事?」
「うん。それはね、桜くんのお父さんに会った事」
俺は唖然……というか呆然というか、そんな力抜けた感じになった。
「桜くんが前に住んでた家に来てたの。お父さん」
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