まさかの……

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「……キョウ、いつまで寝てるんだ。着いたぞ、俺の事務所」 ゆさゆさ、と揺られて目を覚ます。 「着いた……?……何処に?」 まだ少しボーとする頭を無理やり起こし、状況整理を試みた。 確か……二時間ぐらい前に飛行機を降りて、そっからタクシー乗って……英語分かんなくて…… 「だから、俺の事務所だって。いい加減目ぇ覚ませ!」 「……なんだ。もう着いたのか……」 とりあえずそれっぽい返事を返しておく。まだ完全に目は覚めてはいないが、動くしかないようだ。何処かで乗ったタクシーの運転手よろしく、怪訝そうな顔をして「降りろ」と目で催促してくる。 「そうだ、早く荷物下ろして建物内に入るぞ。あんまり姿を見られたくないんだ」 「分かったよ」 俺はタクシーをしぶしぶ降り、荷物を手に持ちその事務所に向かって歩き出した。 「まぁ中に入れば分かるが、お前にとってはありがたい人物がいるからな。楽しみにしておけ」 ありがたい人物ねぇ……。俺専属の通訳とか?家庭教師とか?それとも俺の妻候補? とまぁそう言われりゃ楽しみだが……嫌な予感もするんだよな。めっちゃウザったいお手伝いとか……スパルタ教師とか…… と父さんの一言で様々な妄想を広げる俺であった。
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