1132人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
こんなところで言っても無駄だろう……と思って後ろを振り返ってみると、父さんは受話器を元に戻していた。
「本来ならこれでお客さんの用件を聞き上にあげる時に使うのだが、こうやって事務所内連絡にも使える。
……こら、ボーとしてないで階段上がれ」
玄関?エントランス?に置いてあった受話器の説明を簡単に聞いた後、父さんに押され俺は階段を上がり始めた。
「お前の部屋は……共用になっちまうがそこで良いよな?」
共用か……。別に構わないが……相手によるな。
「まぁ……良いぜ?どうせ部屋無いんだろ。だったら仕方ない」
「おぉ、済まないな。じゃそこのドアの部屋だ。俺はこっちの部屋にいるから。何かあったら呼べ」
ただそれだけ言って父さんは部屋に入ってしまった。若干慌ててたような気がしなくもないが……。
とにかく、荷物もあるし重いし邪魔だし……なので部屋に入ることにした。
コンコン……
相部屋なので一応
「入ってもよろしいですか?」
これは聞くべきであろう。ただ……日本語だったけど。
英語で言い直そうか、と一瞬考えたがノックの返事が来たことにより、その悩みはぶっ飛んだ。
「どうぞ」
綺麗な日本語で、しかも聞き覚えのある女の声が帰ってきた。
突っ立ってても仕方ないので、部屋のドアをあけた……
最初のコメントを投稿しよう!