解けた赤い糸

10/33
前へ
/1026ページ
次へ
「あぶないし」 言いながら儚の髪留めを取る つけたまま眠ったのか取れかけていた 青い薔薇を象った髪留め、儚の小さい頃からのお気に入りで、毎日欠かさず前髪の一部をソレでとめている。 フ、と儚の右手が視界にとまる。 誰かと連絡を取っていたのか、開いたままの携帯が握られていた 七瀬は携帯を取り、とじる。 「………儚…」 携帯を胸に当て握りしめると寂しげに呟く、だがやはり表情からはなにもつかめない。 「おい…はかなっ、はかなー」 優しく肩を揺すると、もぞもぞと儚が体をよじる 「んぅ…ぅ…は…ふぁっ」 もぞっと重い体を起こし欠伸をする ゴシゴシと瞼をこするけど、とろんっとしてまだ睡眠が足りないと訴えかけているようだった 「も……ななくん…った…ら」
/1026ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2023人が本棚に入れています
本棚に追加