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「見送りといえば…逢瀬さん結局来なかったな」
テディベアを撫でていた儚の手がピクッと小さく反応する
「……忙しいから」
「今日は珍しくオフだったらしい、煩わしいものに捕われずのんびり一日休むって言っていた」
「わ……ず?」
「儚のこと」
「?」
「ほら、ご飯食べなよ」
食事の準備を終えた七瀬は座席に座る
「サンドウィッチいや、クロワッサンがいいーっ」
「ないから、デザートだけでも食べな」
「プリンいや、果物がいいのっ」
「まわりにのってるの食べれば?」
「ラフランスが食べたいっ」
「飲み物くらいは」
「オレンジジュースいやっカフェオレがいいっ…というかっ、車の中でご飯食べるのがいやなのっ!お昼まで何も食べないんだからっ」
ジタバタと足をばたつかせる
「まっ、昼食も車内の予定だけど」
「!?」
散止高校への道のりは遠かった。
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