解けた赤い糸

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「あそこがお兄ちゃんのいる散止高校?」 儚の指差す先には紛れも無く散止高校 肯定するように七瀬が頷くと儚は不満げに口を尖らせる。 「屋敷よりずっと小さいしずっとずっと汚いよ!この門も地味だしっ、それに花壇のせっ整備?も下手だしあとっ」 まだ敷地内に足を踏み入れてさえいないのに、ペラペラと不満を口に出す 不満の数だけ儚の精神年齢の低さが伺えた この高校の在校生、卒業生、新入生、教師総てを敵に回す勢いだ。 「これでも他校と比べるとずっとマシだ」 以前通っていた高校よりはこっちのほうがいいらしい。 「それに、静かだし」 「当然だな、春休み最終日だし、生徒は寮にいるか実家から帰宅中だろうし」 近くにあった案内板を見て寮の位置を確認する、もちろん確認してるのは七瀬で儚はというと、『さいあくー』とぐずっている 「さ、行こう…送った荷物片付けないといけないからな」 一向に歩こうとしない儚の手を掴み優しく引っ張った、大きなテディベアは片手で持つにはバランスが悪く、思わず落ちそうになり七瀬の手を払い慌てて両手で抱きしめ直す 「ちゃんと歩けるから……あっ、あとなな君いつ言おっかなって思ってたんだけど、忘れないうちに言っとこうと思うっ」
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