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「こっちは儚、もう一人にあたる儚、よって高校生で男だ」
その説明に多部は目を丸くして…ズズイッと体を屈めて至近距離で儚を観察する
「うぅ……」
嗅ぎ慣れないタバコの独特な臭いに儚は迷惑げに嫌がり、多部から目線を外してテディベアに顔を埋めた
「……男?……百歩譲って高校生であることは認めるとして…男って……触ったら…マズイ…よな?」
「やってみろよ、職失っていいならな」
冷めた口調、本気だった
多部は半分状態だったけど、七瀬は百パーセント本気だった
微妙に儚の胸元に伸びかかっていた手をぎこちなく戻す
「………っと、まずは部屋の案内だったな……こっちだ、ついて来い」
ボリボリと頭をかき、冷静さを取り戻すと、やっと本来の仕事を思い出したかのように部屋の案内を始めた
「はぁ…理事長から丁重に扱えって言い聞かされてたからどんな奴が来るかと身構えてたら……予想以上過ぎるっての」
二人の前を歩きながらボソボソとぼやく
後ろにいる二人は見ているだけで目の保養になる容姿をしているが、あまり振り向く気にはなれない。
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