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「はい階段のぼってー…で、なんで儚ちゃんは私服?サイズなかったってか?」
「ざ、財力?なんだよ」
思わず多部は階段から滑り落ちそうになった
一見純粋無垢な美少女から、急にそんな言葉が出てくるとは思わなかったから
注意して見るのは七瀬かと思っていたけど、それは儚に変更することにした。
「なな君、階段狭いよー、廊下狭いよー、電気もなんだか暗いーっ」
耳を澄ませば聞こえて来るのは後方からの愚痴ばかり。
(ここ…それなりに金かかってるんだけどな)
「ほい、着いた!ここがお前達の部屋」
着いたのは2階にある一番奥の一室
廊下には二人の荷物がつめてある段ボールが届いてつんであった
「うそっ!それに二人部屋!?」
「まじまじ、ほら標札あんだろー名字が二つ並んで」
プラスチックの薄い標札に黒色でプリントされた文字……その質素さに虚しくなる儚
あからさまに落胆され、さすがの多部もテンションが下がる
「じ、実はなっ!この部屋はずっと使用禁止で俺でもまだ室内は見たことねーんだよ!入れるのは定期的にきてた清掃屋くらいでさ、そんな特別扱いされてる部屋だから中のつくりは豪華かもしんねーぞっ」
慌てて儚の機嫌をとろうとする。
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