解けた赤い糸

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「コレここの鍵な、紛失したら作り直すの面倒だし厄介な騒ぎを引き起こす原因になるから大切にしろよ、ほら一つずつ」 「俺だけでいい」 それを聞いて多部は安堵した まだ出会って十分ほどしかたっていないけど、儚に鍵を渡すのは正直気が引けたから 「!それが鍵!?カードキーとかじゃないの?網膜センサーとかは!?」 「はははー、そんなセキュリティないってのー、ま、入口には寮の番熊とうたわれるこの俺がいるから安心しろっ」 「安心すればいい、俺がいるんだしな」 「…なな君でだっ…だちょう「妥協」だっ、妥協?するっ」 完全に儚からなめられてる多部。 もともとその屈託のない明るさから多くの生徒から人気があるだけあって、このような粗末な扱いはかなりむなしい。 だけど儚がこのように我が儘な性格でよかったとも思ってる もし素直で泣き虫で甘えん坊だったりしたあかつきには、そっこうで押し倒して職を失っていたかもしれない。 「ななくーん、リフォームしようよっ」 「模様替えならともかく、建物の構造的に儚の要望は百パーセント不可能」
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