透明な直線

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この声には、どこか聞き覚えがある もう七年程前に親の離婚が原因で離れ離れになった弟のどこか懐かしい声 弟との年齢差は二歳……そう考えれば目の前の子供は随分小柄……身長の差だけではなくて体格そのものが でも、自分をそんな風に呼べる資格があるのは… 「は……かな?」 しか、いない。 「っ……」 儚はいっそう強く抱き着いた後… 「はいっ」 顔を上げて、笑顔で返事をした 「………」 七年前とほとんどかわらない容姿に次彦は目を丸くする 昔から可愛い妹みたいな弟だとは思ってたけど……十五歳とは思えないその姿 「おにぃちゃんっ、ずっとずっと会いたかったよっ」 純粋で屈託のない笑顔。
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