透明な直線

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「おれも……おれも」 情けなく弱々しい声でそういい、儚の体を抱きしめた 抱きしめたらその体の小ささがいっそうわかる 一瞬ちゃんと食事をとれていないのか、と心配になったけど肌つやの良さや着衣してる服の生地の感触で良い暮らしをしていることを感じ取った 「次ー次彦ー、我慢してたけどもう無理限界、何この展開」 「おいバカ正輔、せめてあと三分は待つべきだったろ」 二人同時に声のした方向を見ると―… 高身長の美形二人組が目を丸くして抱き合う次彦と儚を見ている 儚は覚えていないけど、さっき教室からもれていた会話もこの二人組のもの。 「えっ……あ、あぁ、おれもまだ混乱しててうまく説明できるかわからないが……ちょっとごめんな」 ペリッと儚をはがし細い肩を優しく掴むと二人組に紹介させるため正面を向かせる。 もっと次彦と密着していた儚はちょっと不満げ。
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