2024人が本棚に入れています
本棚に追加
次彦は椅子には座らず儚のそばに立つ
「儚…本当に久しぶりだな」
昔と同じ……いや、もしかしたら昔より質がいい細く滑らかな真っ黒の髪を撫でる
「話したい事や聞きたい事が多すぎて何から話せばいいか…」
「なんでもいいよっ!おにーちゃんとお話したいっ」
どんな話題でもいいから
二人の空白の時をうめるように話しつくしたい
「……じゃあ…父さんは…元気か?」
「ん?んー…よくわかんない?」
儚の曖昧な返事が引っ掛かったけど、人の体調なんて完全に把握できないかと割り切る
「そうか…あっ、母さんは相変わらず元気でやってる、何度か再婚の話もでたりするくらいにな……けど、それなりにうまくやれてるよ、そっちは?父さんは女性に人気があったからもしかして……」
「再…?んー?…んー、お父様は一人で僕を育ててくれてるよ?」
どうやら再婚はしてないらしく、次彦は男手一つで儚を立派に育ててくれた父に感謝した
「お父様って……いいぞ、オレの人形像にふさわしすぎるっ!」
最初のコメントを投稿しよう!