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「悪いな次彦、悪気はないんだろうし許してやってくれ」
「わかってる、それに気にしていないし……儚、不自由をしてないことはわかって安心した…本当に心配していたんだ」
儚の存在を忘れようとするまでは。
「学校も変わることになっただろ?新しい生活に慣れるのも大変だったろ?」
突然自分の家に戻れなくなって、意味のわからないまま新しい世界に投げ込まれて…
金銭面に問題がなくても子供にとってはそっちのほうが辛かったに違いない
「ガッコは行ってなかったよ」
「「は?」」
次彦と静雅の声が重なる
離れた場所で話を盗み聞きしてる正輔も驚いて思わず声をもらした。
「先生がね、毎日屋敷にきて勉強してたのっ」
「すっ…すげぇっ!お抱え教師ってこのご時世有り得るのか」
それなりに平静を保っていた静雅も、さすがに騒がざるをえない。
自分の中で『当たり前』と決め付けていたことを儚は避けて通ったから驚くな、というほうが無理な話。
次彦はそんな静雅に反して、黙り込んでしまっている。
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