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閑静な高級住宅街と称されるその場所に一軒の屋敷が建っていた
場所が場所なだけもあり、他にも立派な家は建っていたがどれもこの屋敷と比べると霞んでしまう
少々異質な雰囲気を纏わせるその広大な屋敷に住んでいるのは………
「本当っ!?本当ですか!?お父様っ、本当にいいの!?」
何室もあるだろう屋敷の一室に嬉しそうな声が弾む
「本当だ儚…お前は明後日から高校に通わせる」
「うれしぃ…」
うっとりと顔を緩ませて喜びに浸る儚。
その姿は誰が見ても将来絶世の美女になるであろうと激励されるほど可愛らしく幼い少女のよう。
だけどこの会話からわかる通り、儚は今年から高校生で……
それに正真正銘、男だ。
「ありがとうお父様っ」
儚の満遍ない笑顔に、満足げに微笑みながらシワを深くさせる。
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