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「いい子にしていたご褒美だ…おいで儚、もっと近くでその可愛い顔を見せておくれ」
儚は小さく頷いて軽い足取りで『お父様』に近寄る
『お父様』は贅沢な装飾が施された椅子に偉そうに座っていた。
好きで腰掛けている訳ではない、推定五十代、もう足腰にガタがきているらしい。
そんな『お父様』の傍に寄る儚は、まるで彼の孫……いや、ひ孫にさえ見れる
『お父様』は手を伸ばし、グイッと儚の身体を引き寄せる
まるで愛しいものを独り占めするかのように
そんな『お父様』に、儚は嫌な顔一つしない
「ね……もちろん散止高校に入学させてくれるんだよね?」
「無論だ…ただいくつか条件がある」
「……じょー…けん…それはどんな券でしょーか?」
キョトンっと首を傾げる
「約束のようなものだ」
言い換えられ、それなら分かるとでもいうように儚は無意識に頷く。
どんな約束をさせられるかはわからなかったが散止高校に行くためならどんなことにも応じようと決意をもった。
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