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ふわっ
遠退きかけていた意識は、不思議な浮遊感によって連れ戻された。
「………つぅ。…だ…~…?」
逆光で顔がよくわからない。180近くある俺をいとも簡単に抱き上げているから、相当ガタイがいいはずだ。
そして、俺はコイツをしらない。
寧ろ、このような扱いをする奴は此処にはいない。いる筈がないのだ。
「…寝てろ。………保健室に……連れてく。………。」
途切れ途切れに話すコイツは、普段余り話さないのか言葉少なく淡白な話し方をする。
余計なお世話だと振り払ってしまいたかったが、今日はいつも以上に身体の状態が悪いため、指すらまともに動かせない状況で尚且つ夢のせいで頭が朦朧としている。
始終無言で歩く相手の心臓の音が心地よく聞こえてくるせいか、歩く度に揺れ傷に響き痛みに眉が寄るが少しずつ瞼が落ちてくる。
「……~…。」
なにか言っていた気がするが、眠気には勝てず夢も見ないほど深い眠りに堕ちていった。
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