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がらっ 保健室特有の薬品の臭いが鼻を掠める。3つほどの使われていないベッド。奥のカーテンはしまっていて、下に落ちているシーツに所々シミがあるのが見えた。 誰かが違う意味で使ったのだろう。 (……ちっ。使えねぇ糞校医だな。) 何のメモもなく、鍵も開けっ放しで暇潰しに行ったであろう保健室の主である校医にぶつくさと心の中で文句を言いつつ、奥から離れた手前のベッドにコイツを下ろす。 (とりあえず傷?……手当?俺が?) 顔を歪め汗を額に滲ませているコイツを少し高い位置から見下ろす。 白。 死人を思わせる白のイメージをかもし出すコイツは、脆く崩れそうで危うげだ。 「あー、とりあえず、失礼…します。」 傷を手当するためにシャツのボタンを外す。中にTシャツを着ていたので身体を起こし、それも脱がした。 痣が所々にあるが、大した程傷がない。ゆっくりと身体をひっくり返して、うつ伏せにする。 ズボンがパックリと逝っていたので捲ってみるが、治りかけの切傷があるだけだった。
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