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「愛の成せる技だよ、海斗!」
私が笑って言うと、海斗が呆れたような顔をする。
「それ…俺が言ったセリフだろ。」
バレたか…。
顔を見合わせ、更に笑ってしまった。
「それより海斗、ニューヨークに居る間、他の女性には口説かれなかったでしょうね?」
先程の空港だけでもあんなに注目を浴びている海斗なのだ。
ニューヨークのナイスバディ達がほっとくわけがない。
海斗は途端に目をそらし、わざとらしく窓の外を眺め出した。
「ちょっと…誤魔化すならもっとうまく誤魔化してよ!やっぱり口説かれたんだ!!」
私が泣き真似をすると海斗が深いため息をつく。
「やれやれ…お前の嫉妬の海は深海並みに深いな。」
だけど顔は嬉しそうに笑っている。
「…違うもん。」
「え?」
「嫉妬と愛の海、だもん!!」
嫉妬の海、ではまるで嫉妬の塊みたいじゃないか。
私の場合深い愛あっての嫉妬なのだから、せめて嫉妬と愛の海であるべきだ!
海斗は笑いたいのをこらえるかのように肩を震わした。
「ああ…そうだな。」
声まであからさまに震えている。
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