濡れ髪

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柔らかな未来を想像する女とは対象的に、男はギラついた欲望を膨らませていた。   夢を語る少年のような瞳は男の擬態。     それは生来の面の皮の厚さにより、女に露見していない。   経験から確信していた。     振り返る度、雨に濡れた淡い黄色のワンピースの胸元に視線を送る。   それすら気付かれない。
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