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今度は随分大人しそうな声だった。
「命。現状はどうなっている?」
『今の所は兵士(ポーン)だけです。数はシーラさんの区域が1番多いですね。』
『何やて!?数まで負けたら何も活躍出来へんやん!』
『えっと……ここは謝るべきですか?』
インカムから今度はどこと無く優しげな声が聞こえた。
「謝る必要は無い。シーラはそのまま敵を排除、殲滅すれば良い。」
『こちらコード・サイクロン!!付近住民の避難護衛完了、加勢に来ましたあ!』
インカムからまだ幼さを残す声
「良くやった颯巳(はやみ)。偉いぞ。」
『む!レイさん!子供扱いは止めて下さいよ!私これでも18なんですから!』
始めて微笑を浮かべたレイの頭上約100Mの地点を竜巻の様な突風が通り過ぎて行った。
『はい、じゃあ颯巳ちゃんはE区をお願いね。』
『了解です!』
『もう!うちにもええカッコさせてえなあ~』
「がなるな茜。どの道彼等が来れば大抵は…」
言いかけたレイの頭上を今度は光弾がいくつも通り過ぎ、異形の群れの中心に着弾した。
ゴゴァアアァン!
爆音が響き、群れの中心で烈火が燃え上がった。
『ああ!?皆早過ぎるでえ!!これやったら結局うち活躍出来へんやん!』
『こちらコード・スピカ。はしゃいでるなレディ共、御覧の通り歩兵部隊の御到着だ。前線を押し上げるぞ。』
『『『『「了解!!」』』』』
と、いきなり地震が起きた。
「!!命!」
『レイさんから北西に約1400Mの地点にタイプBの巨兵(ルーク)が出現!後5分で前線に到達します!』
『やむを得んな。レイ、ポーンは歩兵に任せてルークを叩け。最優先だ。』
「しかし、このままでは歩兵部隊に結構な被害が」
『やむを得んと言ったが?』
「…了解。ルーク討伐に向かいます。」
言うや否やあっという間にビルディングより高くへ舞い上がったレイは、眼下で交戦を始めた歩兵部隊を見、
「すまぬ。」
とだけ告げて目標へと向かっていた。
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