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「こちらα2。隊長、エンカウント。」
『軍曹!?』
「オフェンス開始。通信切るぜ。」
反論の声を無視して男は通信機をホルダーに戻した。
先程までのマイペース振りからは想像も出来ないす速さで男は機械に身を滑らせた。
「や~れやれ、ツケの支払いが回って来やがったかな?」
呑気にちゃらけつつも男はベルトを絞めた。
「さあて、動いとくれよゴーレムちゃん。」
両手で簡易キーボードを叩く。
機械の開けた胸部を覆い隠す様に装甲が動いた。
装甲が閉まり、機械の胸部は完全に閉鎖された。
内部が薄い緑色の光に照らし出される。
『GS-5、ゴーレム。起動します。』
機械音が告げるそれは戦闘開始の合図。
目の前の粉塵の中から数体の異形が飛び掛かって来た。
機械の一部がそれを弾き、いや殴り飛ばした。
『軍曹!ゴーレムは近接戦向きではない!腕で殴るなど言語道断だぞ!?』
主電源を入れたためか、先程の女性の声が内部通信システムから聞こえて来た。
「軍用兵器なんてものは大抵装甲が厚い。大丈夫だよ、多分。」
液晶モニターに更なる煙が映し出される。
「やれやれ、面倒臭いぜ全く。」
男が座席の下から何やら暗視装置の様なゴーグルを取り出し、頭に装着した。
「索敵。液晶タイプサーモ。」
『索敵、約7。サーモグラフィに切り替え完了。』
「7かよ。チェーンガンで十分だな。」
男が右手で操縦桿を握る。
人差し指でトリガーボタンを押し込んだ。
瞬間、機械の右腕が粉塵の方を向き、火を噴いた。
それはもはや轟音。
薬莢が右腕からいくつも落ち、カチャカチャと音を立てた。
『目標掃討完了。』
機械音を合図に砲撃が止んだ。
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