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「―――1人にしないで、か・・・・・ずいぶんな殺し文句じゃない?」
二人を屋上において一人で階段を降りていると、階下にいた人物から声をかけられた。
朝春夜夏だった。
「―――盗み聞きしてたんだ?」
「人聞きが悪いわね。あなた達が私を仲間外れにしたんでしょう?」
言葉とは裏腹に、その表情は何かを楽しんでいるようだ。
最近、このかわいい彼女には二つのモードがあることが分かった。
一つはいつものおどおどとした物静かなモード。
そしてもう一つが、今のような、饒舌でどこか小悪魔めいたモード。
このモードはころころと変わるから結構扱いにくい。「君はあまり桂太とは親しくなかっただろう?」
「君なんてよそよそしい呼び方しないで。私と貴方の仲じゃない」
「・・・・・」
・・・・・どうもこっちのモードは苦手だな。
間合いがよく分からない。「・・・・・ねぇ、本当なの?」
「―――何が?」
とぼけてみる。
「あの二人の逃げ場を作るために捜査に参加しないってこと」
むぅ・・・・・。
普通に流された・・・・・。
やつぱ誤魔化されてはくれないか。
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