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「あら?まだ恋人と呼んでくれるの?貴方の秘密を暴いたのに。・・・・・やっぱり優しいのね」
「・・・・・」
僕は閉口するしかなかった。
何故なら夜夏は、うっすらと頬を赤く染め、恥じらうように両の手をその頬に当て、なおかつ身をよじってみせたからだ。
その様子は本当に嬉しそうで、僕は『このモードでも案外かわいいなぁ』とか場違いな感想を抱いてしまった。
「・・・・・大丈夫よ。貴方はちゃんと動くもの」
「・・・・・は?」
夜夏がゆっくり、カツカツと足音を立てて僕のいる段の一つ下まで上ってきた。「―――デウス・エクス・マキナって知ってる?」
すぐ下に来たために見えてしまっていた彼女の胸もとに気をとられていた僕は反応が遅れた。
・・・・・結構、ある・・・・・。
「・・・・・どこを見ているの?」
夜夏が怪訝そうな目付きで見上げてくる。
「うぇ!?あ、いや、えっと、何でも、ないです」
まずった、慌てすぎだ。
僕は気まずさをまぎらわせるために喉を鳴らして夜夏の質問に答えた。
「・・・・・ああ、えっと、デウス・エクス・マキナだっけ・・・・・ごめん、知らない」
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