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桂太の葬儀は二日後に行われた。
出席したのはクラスメイトに担任とサッカー部一同とその顧問、校長と教頭だった。
順番に線香をあげていく。桂太の父親が全員にお礼を言っている。
母親はいない。
・・・・・父子家庭だったのか。初めて知ったな。
僕らが三人で立っていると、桂太の父親から声をかけられた。
「君達のことはよく桂太が話してくれた。サッカーや勉強の話しよりも君達と話したことや様子を話していたよ。・・・・・自慢の親友達だと言っていた・・・・・」
それを聞いた柩は、(ありがちな反応だけど)手で口を覆うと泣きだしてしまった。
進の方を見る。
進は泣きだしこそしないものの、うつ向いて下唇を強く噛み、拳をぎゅっと握っている。
どちらも話せる状態じゃないか・・・・・。
僕は桂太の父親に向くと、できるだけ悲愴な声で答えた。
「・・・・・僕らにとっても桂太君は自慢の親友でした。・・・・・明るくて、リーダーシップがあって、彼と一緒にいると、とても楽しかったです」
陳腐な台詞だな・・・・・。
「・・・・・そうですか・・・・・」
・・・・・僕の演技に騙されてくれたのか、桂太の父親は声を殺して泣き出した。
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