579人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ゛ーーぁあああ!!!」
「!!!???」
突然大声を上げたアタシに、七瀬先輩はビクリと体を硬直させて、物凄く怪訝そうな顔をしてこちらを見る。
いや、だって…。
そうじゃん、アタシ、サボってんのよ今日!!!
「あ、天音 サキさんのブログ……アタシ今日の日付で載っちゃうんですよね…。写メ……。」
「……あ…。」
そういやそうだったな。
…なんて軽い感じで思い出した先輩。
いやいやいやいや!!!
だってだって、人気モデル!!!
「大丈夫だろ別に。あいつそうゆう事の空気は読める奴だから、学校サボってたの分かってるだろうから、上手くしてくれんだろ。」
「本当…ですか…?」
「あぁ。…それより、お前は自分の身の心配しとけよ。」
「…?」
「…海道 沙織…。アイツ、結構しつこいから…。」
「………。」
すっかり忘れてた。
そうだ、アタシは七瀬 拓海の彼女になった。
遅かれ早かれ周りも気づくだろう。
当然彼女の耳にも入るはず………。
彼女は…海道 沙織先輩は、どんな手段でアタシを陥れようとしてくるのだろう……。
「大丈夫。」
「…!」
考え込んでいたアタシはきっと不安げな顔をしていたんだろう。
七瀬先輩はアタシの肩を優しく抱いて、脳髄が痺れる様な甘い声で、耳元で囁いた。
「お前は、俺が守るから…。」
力強い決意を感じさせる彼の言葉に、不安は徐々に薄れてゆく。
だけど、完全には消えない。
アタシは、自分の心配をしているんじゃないの…。
アタシの為に先輩が傷つく姿を見たくない。
きっと、彼ならしかねない。
過去の自分の無力さに悔いているから…。
だから、
先輩は、アタシが守ります。
言葉には出さず、両手に持つプレゼントのベアを強く抱きしめた。
七瀬先輩、麻耶、佐田先生…。
あなた達は、アタシが守る。
アタシの“これから”を謳歌する為に………。
最初のコメントを投稿しよう!