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武は左手で血が噴き出すのを抑えながら椅子の上でのたうち回っている。
武が出す絶叫も厳重な部屋の構造が仇となり外には何も聞こえていないのか窓の外には誰も駆けてくる者が写らない。
息を整えながら苦しそうに武が言う。
「な…なんの目的か知らないが、助けてくれ!なんでも言うことを聞く!」
俺にはこんな汚い奴の言葉などなんの意味も持っていなかった。
冷ややかな目を向け武の額に狙いを定め直す。
「金か!?お前が依頼された金の二倍払う!だからたすけ…」
これ以上こんな奴の言葉など聞きたくなかった。武の言葉を遮るかのように武の額には穴があいていた。
机に突っ伏した武の額の下が赤く染まっていく。
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