救済の始まり

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 青年は暗い名も無き森の中を走っていた。彼は罪人。  木の枝が身体を傷つける、靴はいつのまにか脱げている。  息を切らし当て所なく走り続ける。記憶は砕けてしまい何も覚えていない。  彼は走り続ける。  暗き森から明るい場所へ向かって。  遠くへ、遠く誰も居ない場所を目指し駆け抜ける。  終わらない木々を縫いながら、散った記憶を呼び起こす。  彼は罪人。  罪名は無い。  ただ、彼は罪を犯した。
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