太陽の残酷な導き

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 罪を背負い罪が晴れることを祈り、太陽を追い続けた夢のような十年、その時間だけ肉体に傷を刻み込んできた。  時間は容赦なく吹き付け、確立された精神はもはや風前の灯火。  残された肉体はいつまでも夜明けを目指し走り続ける。  遠い記憶は傷から零れるばかり。  なぜ罪を犯したのか。  どんな罪なのか。  忘れてしまった。  だが、昨日も今日も明日も彼は太陽を目指し走り続ける。
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