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あんなに険しく猛々しかったのに今は物に、変わっている。
女の髪は、これ以上ない程残バラだった。
ちょうどモップを床に擦りつけたような形を想像して頂きたい。あんな感じである。
かつて私に暴言を吐きつづけた口は、だらしなく半開きだった。
額や頬は、濡れていた。
それは汗にではなく、ほとんどは涙だろう
そして目
もはや恩讐を越えてガラス玉に変わってしまっていた。
私はその虚ろな眼差しを、しばらく見ていた。私の心に、あの衝動が起きる
私は最初乗り気では、なかった。
どうせ、乱れた、この女の事だ。
私との関係を含めて、色んな男の裸体が映るだけで、面白いわけは、ない。
だが、意外にも、それは興味深い物だった。
女の視点でセックスを見ると言うのは、面白いものだ。
それに、女が芸能人だと言う事から芸能界のリアルな裏面を垣間見る事が出来た事が、かなり収穫だった。
私は嫉妬も忘れて映像にのめりこんだ。
だがまた、途中で映像は切れた。
「何を基準に長さが?」
いずれにしてもこのままだと私は欲求不満だった。
そして、何か方法がないかと考えると死体には、もうひとつの目が残っている事を思いだした。
私は躊躇なく女の顔から、もうひとつの目を奪いとった。
後には顔の真ん中に2つの大きな穴が、あげられたかつての美女が残った。
私は期待を込めて魔導器を作動させた
しかし、何も像は出て来なかった
この挫折を経て私は、初めて自分の精神の異常さに気がついた。人を殺している事にほとんど後悔や恐怖がない
しかしもっと驚いたのは、死体を傍らに置いて映像に見入っている精神構造だった
それは人を平然を殺す以上に危険な精神構造だと私は思った。
私は魔導器と私自身の事が恐ろしくなった。
私は女の死体を適当に片付けて以後家に戻らなくなった。
私は酒に溺れ、女に溺れた。
それだけでなく禁断の薬にも手を出した。
しかし、私の恐怖は、収まらなかった。
ある嵐の夜、私は意を決して一ヶ月ぶりに自分の家に戻った。
酒をかなり飲んだ状態だった。
家に戻った目的は、ただひとつ、あの悪魔の小道具を処分する事だった。
横殴りの雨のために、ずぶ濡れになった背広を玄関に乱暴に脱ぎ捨てると私は体もふかず部屋に向かった。
そして部屋の電気をつけた。
私は、ぼーぜんとした。
そこに、
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