足りない“心”

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「っ!!」 キィンッ!! 鳴り響く快音。白球は悠々と三塁手と遊撃手を抜けていく。左翼手が捕球した時には既に打者は一塁に到達していた。 「花、最近絶好調だねっ」 ランナーコーチにいた渚が話し掛けた。私はバッティンググローブをズボンのポケットにしまいながら笑顔を見せる。 ――須藤渚(スドウナギサ) 私と同級生で、一年の時からの部活仲間。ショートカットの髪型が印象的で、恋バナ大好きっ子。いつもはチャラチャラしてるけど、実は頼りになる、我がチームのエース投手。―― 「これも彼氏さんが出来たからかな~?」 渚はニヤニヤ。 「ちょっ…やめてよ~」
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