27人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬、彼が何を言ったのか分からない。実家の両親は、彼の存在を知らない。冗談混じりに一緒に行くよう誘っても、彼はいつも首を縦に振らなかった。
「挨拶なんてしたら、うちの両親うるさいよ? 結婚の話とかし始めるかも……」
「うん。挨拶だけしたら、俺はホテルとか泊まるから」
「いや、答えになってないよ」
いつも通りの調子に、いつも通り返せないのは私のほうだ。あの両親が、彼を一人ホテルに泊まらせるわけがない。実家の私の部屋に彼と二人寝ているのを想像すると、改めてかなり変な気分だった。
最初のコメントを投稿しよう!