コントローラー

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     一瞬、彼が何を言ったのか分からない。実家の両親は、彼の存在を知らない。冗談混じりに一緒に行くよう誘っても、彼はいつも首を縦に振らなかった。 「挨拶なんてしたら、うちの両親うるさいよ? 結婚の話とかし始めるかも……」 「うん。挨拶だけしたら、俺はホテルとか泊まるから」 「いや、答えになってないよ」  いつも通りの調子に、いつも通り返せないのは私のほうだ。あの両親が、彼を一人ホテルに泊まらせるわけがない。実家の私の部屋に彼と二人寝ているのを想像すると、改めてかなり変な気分だった。
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