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半年前―――それまで付き合っていた彼女と別れ単身、東京の友達の部屋に転がりこんでいた。
三田線の板橋本町駅から歩いて5分のところにある古い4階立ての建物。間取りは2DKだ。 友達は東京に住んでいるにもかかわらずいつも玄関の鍵はかけないでいるのでいつでも上がりこめた。物騒なので鍵かけたほうがいいと思うのだが部屋の散らかり様に泥棒も足を踏み入れないだろうってほどのゴミ屋敷とかしていた。
とりあえず部屋に着いて真っ先にやることは決まっていた。部屋とユニットバスの掃除だ。百円ショップでほうきと雑巾などを買わなければならない。
すぐさま近くの商店街に向かった。
板橋本町付近のかってはわかっている。なにせ初めてではないからだ。去年の今頃もちょうど同じように転がりこんでいたからだ。
通算5度目となるいそうろう生活だ。毎回お世話になっている。にっちもさっちもいかなくなると最終的にはここの主である友達に助けをもとめるといった状態になっている。友達も気軽に迎えてくれるのでついつい甘えてしまう。
友達は印刷会社で印刷機のオペレーターをやっていて、今日は昼勤だから夜9時頃帰ってくる予定だ。9時から21時までの12時間勤務の昼夜の2交替制だ。
1年ぶりの東京はなにも変わってないように感じた。
買い物を済ませ部屋に戻りさっそく掃除を初める。1年間まるで掃除してなかったようなありさまだ。2時間かけようやくかたずいた。 テーブルの下に布団を入れ込みロフトっぽく一畳ほどのスペースを確保できた。洋服はその上に、百円ショップで買ってきた園芸ようの棒にかけることにした。
前もって連絡しておいたので驚きはしないだろう。
夜9時半ごろ友達は帰ってきた。
「ういーすっ、久しぶりー」と拓が缶チューハイとコンビニの弁当を持って部屋に入ってくる。
「おつかれー久々やねー、またしばらくやっかいになるよ。」と答える。
拓がコンビニの袋の中から缶チューハイを2本取り出し、1本を渡してくれた。サンキューと言って受け取り乾杯する。
さーて明日からは職探しだ。
拓は明日も仕事なので二人とも早めに寝ることにした。
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