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二人はしかめっ面をして見合うと、もう一度深い溜め息をつく。
「春夏秋冬さ~ん。今日、返済日だって事忘れたとは言わしやせんよ」
外からだらし無い声が聞こえてきて、更にノック音が大きくなる。
「バックれるつもりだったんだがなあ」
昶は髪を掻きながら立ち上がり、扉の方へと向かおうとすると桜が声をかけてきた。
「気をつけて……っ」
歩きながらそれに応えるように背中越しにひらひら手を振る。
「よぉ、アキラクン。元気にしてたか?」
扉を開ければ見慣れた顔触れ。
サングラスをかけ、高級そうな黒スーツを品なく着こなす男が二人立っていた。
「あぁ、今は亡き俺の両親にお金を貸してくれた少おぉし強面の優しいぃいお兄さん達。今日は何のご用件です?」
「しらばっくれてんじゃねーぞ!テメェ」
昶がにっこり笑うと、後にいた男が食ってかかるように怒鳴り散らす。
「まあ待てや、青木。俺達ァ、コイツがこーんな小せぇ頃からの仲なんだぜ」
「しかし!兄貴……っ」
もう一人の男が自身の腰辺りに手を持ってきてジェスチャーし、まだ反論しようとする青木を一睨みする。
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