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車を走らせた時たぶんあたしは賭けていた。
この後、かいセンパイから連絡がくることを。
もし、このまま連絡が来なかったらカレにとってアタシはそれだけの存在だって。でも、やっぱり少しでも心配になって、アタシを気づかって連絡をくれたなら自分の気持ちに素直になってみようと。
だけど、かいセンパイからのTELはアタシの想像を遥かに超えていた。
「もしもし、おまえ今どこ?」
「えっ、今○○ですけど、」
「海へ行く方向わかった?」
えっ、海…。あたしを海に行かせる気なの。
もうわからなかった。どうにでもなれって思った。
「わからないけど、いいです。なんとかなりますから」
そう答えるほかになく…けどかいセンパイは、
「じゃ、今からそこ行くから。そこで待ってろ!海までの道、わかるとこまで誘導してやるよ。」
駄目押しの一言。
「いいです、もう他で時間潰すしますから!!」
「でも、もうUターンしてそっち向かってるし…」
「いいです!!お友達早く送ってあげてください!!」
消えてしまいたかった。最悪なんて言葉じゃ足りなかった。帰り道のことなんて何にも覚えてなくて、どこ通ったのかもさえもわからなかった。
ただ、ただ、泣いてた。涙の意味はわからなくて、いろんな色の涙が出てた。
楽しくて、切なくて、悔しくて、大嫌いで、悲しくて愛しくて…。
それでも彼がダイスキ。
悔しいけど、彼が
ダイスキで。
あの時のナキムシドライブを今も忘れない。
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