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『それは儂が話してやろう イサヤ』
「!!」
いきなり部屋全体に響く声がしたと思えば、リオウは背後に気配があることに気付く。
背をとられまいと構えるが……やがて あんぐりと口を開けた。
「せ…、精霊…クジャータ…!」
そこにたっていたのは絶世の美女…の、姿をしている太陽の精霊クジャータであった。
腰まで届く髪は 炎が燃えるように赤く、橙色の瞳や紅をのせた唇は やはり人を思わせない美しさを象っている。
…リオウの好みではないが、…好みでなくとも言葉を消してしまえるくらいの容姿だ。
『クジャータ…そう急(せ)いてはいけないよ、彼は我が国の王になった御方なのだから…』
続いて現れたのは やはり彼であった。
もう一人の精霊、月の精霊フェイラムである。
穏やかな物腰と雰囲気を醸し出す男性姿の精霊フェイラム。
エメラルドグリーンに似た碧色の髪を頭の上でひと括りに結わえ、同じような色の瞳でリオウを見つめた。
「なんっ…いや、…どうしてお二人が、」
思わず敬語を忘れそうになるが、慌てて直す…と、くすりとクジャータが笑った。
『まぁ驚くのも無理はないじゃろう、…敬語でなくとも儂は構わぬぞ リオウ』
「…いや…、そういうわけには…」
驚きと気まずさで動揺しそうになる心を必死で平常させる。
『リオウ、僕らのことは どうか名で呼んで欲しい
僕らと君は浅からぬ関係に……なるみたいだからね…』
人の良さそうな顔を申し訳なさげにしながらフェイラムも微笑んだ。
「は………、…………は?」
前者の物言いにはいと答え…そうになり、しかしとどまった。
『リオウ…御主は儂の娘と結婚するのじゃからな…!』
「……………………はぁあぁあああ!?」
満足げに、得意満面に言うクジャータは人間のような顔でにっこりと笑んだ。
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