紅月夜に舞う少女

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「なぁ 青」 真新しい長屋の一角で 険しい表情の男 天宮 僥夜 「何?僥夜 そんな険しい顔して」 気品ある顔立ちの 青と呼ばれた女は悪戯っぽく笑みを浮かべた 「町奉行たちが口々にしている話…ありゃいったいなんだ?」 あぁっそのこと 安堵した青は話を続けた 「今晩は紅い月とともに バケモノが出るって話よ」 対した事無いわ と後付し興味なさそうな顔をした 打って変わって僥夜は 興味津々に大きく眼を開き 大声を出した 「それって隣町を一晩で消したヤツだよなっ 会いたかったんだよなぁ!! 楽しみだ」 幼子のような笑顔で はしゃぐ僥夜に呆れる青 「じゃああたしは帰るわね 貴方は一人でバケモノにでも喰われちゃいなさい」 ウィンクして舌を出す青は 色っぽい 「おぅ! 喰われねぇけどなっ 青もきをつけて帰れよ」 「はいはいっ」 戸が閉まる音がして 一人になった僥夜は ワクワクを隠せないでいた 「早く夜になんねぇかなっ」
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