日常・非日常

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突然 自転車の火が風もないのに揺れ始めた すると 突然火が消えた ……いや、目の前に…「何か」いる 「何か」が俺の視界を遮っている 暗くて解らないがすぐ前、手の届くところにいる 俺は、金縛りにあったように動けなかった 恐怖の支配…と言うのを身を持って体験しているようだった 「…だ…誰…だ ぉまえ…」 声が震えてうまく声がでない 目の前の「何か」は無言で俺の首を掴んで地面から少し浮かせて壁に打ちつけた 痛さと苦しさでうめき声しか出ない ただ解ったことは 人間では、あり得ない力 そして 「何か」の後ろの火が揺れ動いたおかげで少しだけ何かが見えた 二本の短い角が生えている まるで昆虫のようなよく解らない頭 そして 大きな目が、黒光りしていた やはり人間なんかではなかった 「何か」は異形の怪物だった 俺の首を掴む手に力が入っていくのが解った 俺は諦めた 死ぬと思った その時 「お巡りさん、火事です こっちこっち」 女性の声と足音が近づいてくる 怪物は俺から手を無造作に離し 走り去っていった 少し離れたところでエンジン音だけを残して
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