日常・非日常

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池に着くと 俺は一つ、深呼吸をする 「ー…はぁー」 ここは偶然立ち寄ったときからお気に入りの場所 橋や柵などはなく 数カ所、草が伸びていないところがあり そこで 俺はゆっくりとした時間を感じるのが好きだった しかし その日は違った 「バタバタッ…」 突然池のほとりにいた鳥たちが音を立てて飛び立った 「……ー」 そしてまた沈黙 俺は気になってそこに向かった そこの地面には何か焦げたようなあとが無数、点々とあった 「ガサガサッ」 不意に横の茂みの奥で音がした 俺は 体をかがめてその方向に向かった 「バーンッ…バーンッ」 銃声に近い音が近くで聞こえた 突然 俺のもとに何かが降ってきた 俺はすぐさま横に飛び逃げた 俺が今までいた場所には 黒いスーツケースが 俺はすぐに手を伸ばし そしてそれを開けた カードの束と 変わった形のデッキケース 俺はそのカードに見覚えがあった そう ディサイドが描かれた そして海東さんが探していたカードの束だった 俺はそれを手にする その時 「くそっ…」 若い男の声がして 俺は慌ててスーツケースを閉めて その場にそれを置いて去っていった
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