思い出・記憶

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「…はぁはぁ …くそっ!」 いつもの池に来た ここに来れば少しは落ち着くと思ったからだ 走ってきたせいもあって 息も切れて、額には汗が ここに来たことによって 少しは楽になった…気がする 心も体も 今求めているのはここなのだろう 「…おい」 後ろから声が聞こえて 俺は振り返った 「あなたは…たしか…ディケイド?」 そこにはついこの間戦ったディケイドに変身していた人がいた 「いい場所だな ここになんかあんのか?」 その男は俺の横まで来ながら言った 首に掛けたカメラをいじりながら 「べつに…何でもありません」 俺は帰ろうとする 「待てよ 聞きたいことが山ほどある」 俺は男に背中を向けたまま立ち止まった 「……なんですか…」 カメラに向けている顔をあげて言った 「何故、俺を破壊する? おまえも、俺の過去を知っているのか」 男は池の方を向いたまま質問をした 「…俺は 何も覚えていない 俺は帰ります ……士さん」 俺はそれだけ言って走っていった 「おい…何で 俺の名前を知っている?」 遠くで声がしたが立ち止まらなかった 俺はあの人を知っている 「…門矢…士……」 帰り道、頭に思い浮かんだ人 さっきの男のことを考えながら自転車を押していると 強い光で何も見えなくなった そして光が弱まり、目を開くとそこは全く知らない所だった 今までいたところとは違う場所
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