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―ラジアータ城四階
ここには主に武官や文官といった政に関わる人々の執務室がすべて集結し、言わばラジアータ国の心臓部といってよい場所だ。
王国騎士団総参謀長にして、宰相マクベスの執務室もこの階の一室に設けられていた。
マクベスは書類に走らせていたペンを脇に置くと、顔を上げた。
そこには、騎士セレクションの主審を務めた男達が結果を携えてやって来たばかりだった。
シャープな黒い眼鏡をかけたこの男は、もう四十半ばを回っているにもかかわらず、実際の年齢よりも遥かに若く見えた。常に物静かで物腰も柔らかいが、それでいて眼鏡の奥の瞳はまるですべてを見透かしているかのように鋭く、いかにも切れ者といった感じのする男だった。
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