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目を覚ました瞬間、全身に激痛が走った。
あたりを見回したアイリは、自分がベッドの上にいることを理解した。いくつも同じようなベッドがならび、どうやらここは医務室のようだ。
「気が付いたか?怪我人」
アイリが目を覚ましたことに気付いた白衣姿の白髪の老人が声を掛けてきた、どうやらこの城の医者のようだ。
「しかし、たいしたもんじゃのう、決勝までのこるとはな」
「はぁ……」
医者は気さくに話しかけてくれたが、アイリは答える気にはなれなかった。
(あと一回勝ってたらなぁ……)
アイリは悔しさと後悔でいっぱいだった。
「やっぱり女は男には敵わないのかなぁ……」
アイリは溜め息をついて思わずぼやいた。
すると医者はこう言った。
「まあ、あの方は四大貴族のクイニス家のご子息で、小さな頃から騎士の教えを受けてきたそうじゃから、一般人には敵う相手ではないのう」
「なんだよ‼最初から騎士に教えられてたんじゃ不公平じゃん‼」
「セレクションをしなくても勝負は決まっておったようなものじゃしのう…」
「え゛‼‼じゃあ、最初から勝ちが決まってたってこと?」
アイリは愕然とした。
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