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喜んでくれてよかった。 ウサギくんは目を細めて嬉しそうに笑った。 ウサギくん、僕知らなかったよ、こんな場所があったなんて。凄いねウサギくん。とっても綺麗だ。 僕の声は興奮して少し上ずった。 ウサギくんは街を見下ろせる位置にそっと腰を下ろした。 僕も隣りに腰を下ろした。 草が濡れていて、僕のおしりも濡れた。 けれどあまり気にはならなかった。 そっとウサギくんを盗み見ると、彼はただ街を見下ろしていた。 いつもはしていなかった、右手の黒いリストバンドが気になった。 普通の男の子よりは白い彼の肌に、よく映えているなと思った。 じっとりと雨を吸っていて、重そうにも見えた。
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