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ウサギくんの唇が微かに動いた気がしたが、雨の音にかき消され、言葉は僕には届かなかった。 ただ、彼の瞳は僕を捉えていなかったから、きっと僕に向けられたものではなかったのだ。 だから僕は聞き返さなかった。 帰ろうよ、ウサギくん。 僕は繰り返して言った。 彼の視線と僕の視線が交わると、彼は静かに頷いた。
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