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1人だったその日の帰り道、そろそろ家に着くかという場所に、ウサギくんが立っていた。 今日も雨だったが、彼は傘を差していた。 僕も傘を差していた。 僕を真っ直ぐに見つめるウサギくんの目は、雨の日ガラスにまとわりつく雫にとてもよく似ていた。 彼は何も言わなかった。 代わりに何か言いたげな眼をしていた。 僕は気づかないふりをして口を開いた。 いつもそうだ。 いつもいつも、そうだった。
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