二人だけのお茶会

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 時計の短針がちょうど10をさした頃、私は食器棚の上から蔓で編んだバスケットを下ろす。その中に先ほどまで湯気をたてていたケーキと冷たい紅茶を入れた水筒を詰め込むと満足感に浸りながら、よしっと頷く。  忘れものはないことを確認すると今度は戸締まりの確認をして家を出る。  日差しが強く、少し暑い。けれど、心地よい風が頬を掠めるので、その暑さはさほど気にはならなかった。 「あら、スピカちゃんおはよう。これからお出かけ?」 「おはよう、おばさん。ちょっと森へ行ってくるの」 「暑いから気をつけてね。暗くならないうちに帰って来るのよ」 「はぁーい」  近所のおばさんに手を振りながら足を森へと向ける。 .
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